センター試験で使われた『保元物語』

 今年の古文は『保元物語』だったようで。
 http://www.47news.jp/47topics/e/185758.php
 http://www.47news.jp/47topics/pdf/23kokugo_q.pdf
 子が父を殺すことになるという場面です・・・
 保元物語で今手元にあるのは古典大系本・新古典大系本・新編全集本ですが、見てみると、試験問題はこのうち新編全集本の本文(339〜343頁)をもとにして漢字や仮名を改めるなどしたものですね。

日本古典文学大系〈第31〉保元物語,平治物語 (1961年)

日本古典文学大系〈第31〉保元物語,平治物語 (1961年)

保元物語 平治物語 承久記 (新 日本古典文学大系)

保元物語 平治物語 承久記 (新 日本古典文学大系)

新編 日本古典文学全集41・将門記/陸奥話記/保元物語/平治物語

新編 日本古典文学全集41・将門記/陸奥話記/保元物語/平治物語

(新編全集本の画像が『十訓抄』になっとる・・w)
 古典大系本の底本はいわゆる金刀比羅本、新編全集本は陽明文庫本。ちなみに、新古典大系本は、上記二本とは系統を異にする半井本を底本にしています。
半井本 保元物語―本文・校異・訓釈編

半井本 保元物語―本文・校異・訓釈編

 為義が「あはれ、人間の宝には、子に過ぎたるものこそなかりけれ」と述べるのが涙を誘いますが、これは山上憶良「銀も 金も玉も 何せむに まされる宝 子にしかめやも」から始まって、『宝物集』(七巻本)の「人の身には、子に過ぎたる宝は侍らず」にもつながる、親子孝慈という大きなテーマの流れの上にあります。武士の運命というのは苛酷なものですね。