Pink Tentacle による鯰絵特集記事――鯰と瓢箪

 本当に、鹿島明神はそろそろ休暇から戻って仕事をしたほうが良いと思う。
Namazu-e: Earthquake catfish prints ~ Pink Tentacle
 よくまとまっている記事だと思います。
 瓢箪(gourd)でナマズを押さえつけている絵が18、33、40辺りにありますよね。勘の良い方は気づかれたと思いますが、ナマズたちの着物に注目すると、やはり瓢箪図柄のものが多く(6、7?、9、12、17、28、31)、この二つのものは相性が良い。
 で、この取り合わせは記事(31)が指摘している通り、如拙の「瓢鮎図」に由来しているものだということになります。有名な作品なので御存知の方も多いでしょうけど、謎の多いことでも知られている異色の絵。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/04/Hyonen_zu_by_Josetsu0.JPG
 ただ、日本語および英語版の Wikipedia で、

ひょうたんでナマズを押さえるという禅の公案を描いたもの

と「禅の公案を描いたもの」ということに関してはすでに大西廣氏による批判(『瓜と龍蛇』福音館書店)もあって、確かに不審です。当座の独創ではなく、何かに基づいているとは思うのですが。
 明らかに典拠がありそうなのに、その典拠が皆目見当がつかない日本中世の有名な事例という点では、『平家物語』の「甍破れては・・・」(「大原御幸」)とともに東西の横綱を張ることができそうな気がします。