『日本古典対照分類語彙表』

 遅ればせながら暇を見ては『リポート笠間』53号を覗いていますが、来年刊行予定という『日本古典対照分類語彙表』(『古典対照語い表』の改訂増補版)のお知らせが目を引きました(206〜209頁)。
 『古典対照語い表』はぱらぱらめくっているとためになる本でして、「この語は和歌(あるいは散文)にはあまり出てこないのねー」等々いろいろとヒントが転がっているのでオススメです。その増補版の刊行をお祝いします。
 改訂増補の柱は三つ。一に、それぞれの語に国立国語研究所編『分類語彙表』の分類番号を追記したこと、二に、『平家物語』『宇治拾遺物語』『新古今和歌集』の語彙を新たに加えたこと、そして、三に、『万葉集』に関しては旧版で用いていた正宗敦夫万葉集総索引』*1から古典索引刊行会『万葉集索引』に切り替えたこと、この三点にまとめられるでしょう。
 第二点の、三作品の追加によってだいぶ様変わりすることが予想されますが、第三点も見逃せない。底本とする索引の変更によって、一見すると細かいけど、注意すべき変動が起こるはず。
 たとえば、旧版『古典対照語い表』では『万葉集』に3例あるとされた「いささめに」。

(架蔵本は1992年9月30日刊第三版第一刷。なお、右端が『万葉集』の用例数です。用例「1」とあるのは『古今和歌集』)
 これは新版『日本古典対照分類語彙表』では「1」例に減少するでしょう。
 そして、その代わりに、旧版では『万葉集』に用例がないとされた「ゆくりなし」が用例数「2」になるのではないかと。

(旧版、「ゆくりなし」は『土佐日記』に1例、『源氏物語』に10例とする)
 逆に、抹殺されるであろう語もあります。旧版では『万葉集』に「こなた」が1例あるとしています。

 これ、多分、消える。
 まあ、そうやって『万葉集』の欄を新旧版で見比べる、そういう楽しみ方もありますよ!(マニアックだ・・w)
 【追記】 2014年6月末刊行予定とのことです。 宮島達夫・鈴木泰・石井久雄・安部清哉編『日本古典対照分類語彙表』(笠間書院) | 笠間書院

*1:もっとも、実際のよみは「まず「万葉集大成 本文篇」のよみにより、それできまらないものは「万葉集古義」のよみによる」(凡例)であった。ただし、たとえばあの悪名高い「ぬ」(野)などは、仮名書きの2例を除いて、ちゃんと「の」で採っている。