戴冠式の次第
ファンタジー系の小説・ゲーム・映画を作ろうとしている人はどの章もいろいろと参考になるんじゃないかなぁ。
- 作者: A.M.ホカート,橋本和也
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/12/15
- メディア: 文庫
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たとえば第7章「戴冠式」
戴冠式は数多くの儀礼と慣例からなっている。それらのうちあるものは変わらずにあり、他のものは変化したり、まったく消えてしまった。読者の便宜のために、それらの儀礼を一つ一つ取り上げていこう。(中略)すべてを備えた完璧な姿は、何処にも見出すことはできないが、もしそれが存在するとしたら、次のようになるであろう。
(113頁)
A 理論では、王は(1)死に、(2)再生する、(3)神として。
B 準備段階として、王は断食だけでなく、他の禁欲生活を実践する。
C (1)供犠に参加資格のない、他所者、罪人、女子供は近づけず、何も知らされない。(2)武器を持った護衛が覗き見を防ぐ。
D 一種の安息日が守られる。人々は臨終のときのように沈黙し、静かにしている。
E 王は儀礼的な戦いをしなければばならない。(1)武器によって、または(2)儀礼によって戦い、(3)勝者として出現する。
F 王は、(1)正しく統治するように戒められ、(2)彼はそうすることを約束する。
G 王は一種類か二種類の聖餐を受ける。
H 人々は、ある時点で、(1)わいせつな行為か、(2)悪ふざけを思うままに行なう。
I 王は特別な服をまとわされる。
J 水で洗礼を受け、
K そして、塗油式を受ける。
L そのときには、ある人間が犠牲として殺される。
M 人々は騒音と歓呼の声をあげて喜び、
N 饗宴が催される。
O 王に王冠がかぶされる。
P 靴を履き、
Q 他にも王位の徴しとなる、剣、笏、指輪等を受け取る。
R そして、王座に坐る。
S 王は、太陽が登るのを真似て、儀礼的に三歩進む。
T 最後に、自分の住居を回り、臣下から忠誠の誓いを受ける。
U 王は新しい名を受ける。
V 女王が、王と共に聖別される。
W 臣下か役人が、戴冠式のときか王の巡察の間に、聖別される。
X 儀礼に参加した人々は、神々の如く、ときには仮面をつけて、正装する。
Y 仮面は動物のもので、かぶり手とその動物が同一視されている。
Z 王は数回聖別される。その度に王権の階段を、一歩ずつ登っていく。
(114〜115頁)