両院の委員会における日本文化・日本文学関連の発言

 一昨日のエントリ(続・万葉集(衆)議員、橘慶一郎氏 - Cask Strength)のために使用した国会会議録検索システムですが、処理速度も悪くなく、便利でしたよ。というよりも、議事録は面白いですね(いろいろな意味で)!昨日は思わずいろいろと読んでしまいました。
 平成23年4月22日の経済産業委員会橘慶一郎議員が質問に立った日で、その冒頭部を引くと、

橘(慶)委員 経済産業委員会で、谷畑先輩議員の今の御質問の残ったところで、十一時十分ぐらいまでお時間をいただきながら、きょうは質問をさせていただきたいと思います。
 東日本大震災の後、私としてはこの委員会では最初の委員会ということになります。お亡くなりになられた方に本当に哀悼の意を申し上げながら、また御苦労されている皆さん方にお見舞いを申し上げ、そしてまた海江田大臣初め副大臣政務官、スタッフの皆さんが頑張っていただいていることにもお礼も申し上げながら質問に入るわけですが、桜前線もだんだんと今陸奥の方へと進んでおります。春が来るのとあわせて復興が進んでほしい、そういう思いを強く持っております。
 そこで、きょうの一首は、春雨に咲いているあの山桜はどうだろうという一首がございましたので、万葉集巻八、一千四百四十番を詠ませていただきます。
  春雨のしくしく降るに高円の山の桜はいかにかあるらむ
 ありがとうございます。(拍手)

 人柄が偲ばれます。海江田万里経済産業大臣(当時)もそこは即応の妙。

海江田国務大臣 橘委員にお答えをいたします。
 冒頭に大変美しい日本の大和歌を歌っていただきまして、ありがとうございました。
 私も、お返しといってはなんですが、漢詩でちょっと、きょうはそういう準備をしていなかったんですけれども、劉希夷という人の詩で、これは唐の時代の詩人ですが、「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」という詩がございます。これは、毎年毎年花は同じように咲く、しかし、それを見る人たちは決して同じではないと。間もなく被災地でも桜の咲く季節でございます。「年年歳歳花相似たり」でございます。しかし、その花を見る人たちというのは、残念ながら同じではありません、「歳歳年年人同じからず」。そういう詩を思い出しました。

 さて、国会論戦も上述のようなやりとりならいいのですが、文学・歴史に関わるタームで会議録を検索して出てきたもののいくつかは、なんというか、ちょっとすごかったですよ。そのごく一部を今日はご紹介します。

伊吹国務大臣 ・・・しかし、皆さんが離婚の調停をやるときに、やはり源氏物語だとか永井荷風だとか瀬戸内寂聴を読んでいることによって男女の機微がわかるので、それがわからないまま、法律万能で離婚の調停をやられてはやはり困りますから、幅広い教養を身につけてくださいということをお話ししたことがあるんです。

 (平成19年04月24日決算行政監視委員会第二)
 一瞬目を疑いましたが、本当にそう書いてあるのだから仕方ない。(まあ、「幅広い教養」は身につけてもらったほうがいいでしょうけど!)

参考人磯村尚徳君)・・・少なくとも日本には八人の女帝が古代においていたし、そして、ヨーロッパのフランスなんかがまだ片田舎であったころに、既に源氏物語のようなユネスコが人類の誇りとして指摘しているようなすばらしい文学作品もあったと・・・

 (平成19年12月05日国際・地球温暖化問題に関する調査会)
 江戸時代も「古代」に含めるなら確かに女帝は8人いましたけど、普通にいうところの「古代」であれば6人ですよね(斉明は皇極の重祚、称徳は孝謙重祚)。それはそうと、カペー朝のフランスを「片田舎」と呼んだということですか?発言者は公人ではないでしょうけど、これ外交問題にならなかったのかな・・・

稲田委員 最後に、大臣にお伺いをいたします。
 私は、農業を一つの産業とはとらえてはおりません。農業は日本文化の原点であります。アマテラスオオミカミの神勅にも、稲作が続く限りこの国は繁栄すると書かれております。

 (平成20年04月02日農林水産委員会
 「稲作が続く限りこの国は繁栄する」と言っている「神勅」とは何のことでしょう?(というか、それ以前に、これはちょっとね)
 いずれ、検索範囲を広げていろいろと見てみようとは思いますw
 あと、平成22年2月25日予算委員会第一分科会の「考霊天皇」は「孝霊天皇」の誤字なので、どなたか国会会議録検索システム -メール・アンケート-で報告するといいと思うよ!