万葉集(衆)議員、橘慶一郎氏

 小泉進次郎衆議院議員のブログにちょっと気になることが書いてありまして、

 さて、今日の午前中の予算委員会で質問に立った橘議員は数少ない私の同期の仲間です。その橘議員の代名詞が「万葉集」。これは国会議員の中では段々知られるようになってきました。
 なぜ「万葉集」かというと、橘議員は質問の時に万葉集の歌を披露するからです。しかも毎回違います。橘議員が万葉集の歌を披露した後の独特の空気感。なんとも言えないんですよね。議場が和やかな空気に包まれます。

http://ameblo.jp/koizumi-shinjiro/entry-10804680263.html

 調べてみると、この橘議員とは富山三区から選出されている橘慶一郎氏のことでした。越中の人ですからね、納得w
 議事録を見ると、たしかに質問の冒頭で万葉歌を紹介しています。

さて、せっかくですから私の地域のPRもしたいわけでありまして、万葉集ゆかりの地域でございます。非常に古いお話になりますが、私どもの県は越中の国といいまして、ここに大伴家持卿が五年間国司で赴任をされ、万葉集に多くの歌を残しておられます。いろいろな歌があるわけですが、巻十九、四千百四十三番という歌で、「もののふの八十娘子らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花」という歌を御紹介しておきたいと思います。

http://www.t-k1.net/blog/091118/sokuhou.html

 大伴家持卿が、私どもの富山県へやってきて、何と美しい日本海だということで詠んだ歌を一首御披露して入らせていただきたいと思います。巻十七、三千九百五十四番であります。馬なめていざうち行かな、渋谿の清き磯廻に寄する波見に。馬を駆って、清い磯廻、そういう磯の方を見にいこうじゃないか、波を見ようじゃないかという歌であります。
 馬並めていざうち行かな渋谿の清き磯廻に寄する波見に

http://www.t-k1.net/blog/shitsumon/101112-6.pdf

 この委員会で三度目の質問をさせていただく機会をいただいたのは、大変うれしいことでもあります。
 したがいまして、万葉集も三つ目になるわけですが、富山県ばかりやっていては失礼だ、大臣は茨城県でございますから、茨城に何かないかと。ただちょっと、済みませんでした。北部の日立の方まで行くとなかなかすぐ見つけられなかったので、またそれもとっておきながら、きょうは筑波山で許していただきたいと思います。
 大変いい山でありまして、この山を外から見ていたら、やはり一回登ってみたいなということで、ちょっと雪解けの道を苦労して登りましたという歌を詠ませていただきます。きょうは一発でやらせていただきます。巻三、三百八十三番。
 筑波嶺を外のみ見つつありかねて雪消の道をなづみ来るかも

http://www.t-k1.net/blog/shitsumon/101126-1.pdf

 委員長御存じのとおり、私は万葉集を歌って始めるということになっておりまして、東京の残雪を踏み締めながらしっかり四―五分やらせていただくという気持ちを込めて、万葉集巻十九、四千二百二十六番、大伴家持卿の歌であります。
 この雪の消残る時にいざ行かな山橘の実の照るも見む

http://www.t-k1.net/blog/shitsumon/110217-1.pdf

 是非とも国民と国家のために尽力し、予算委員会でもこれから何回も万葉集の歌を披露できるような議員になってもらえれば。
 完全に趣味的な余談ですが、それにしても橘議員(もしくはこの議事録の実際の作成者)は『万葉集』は何のテキストによっているのでしょうね。万葉歌が漢字仮名交じりになっていますけど、この表記も依拠した注釈書のものをそのまま用いると思うので。一致率が高いのは新編日本古典文学全集の(小学館の系列の)『万葉集』ですけど。
(2012/02/16追記:続・万葉集(衆)議員、橘慶一郎氏 - Cask Strength