資料用:「透光鑑」の記述(『夢渓筆談』巻19)
STAP細胞と小保方晴子さんに話題をすべて持って行かれた感がありますけど、その直前まで脚光を浴びていたのは、http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140129/k10014866311000.html でした。
魔鏡現象を起こす鏡は、最も古いものでは紀元前1世紀ごろ、古代中国の前漢の時代に作られたとみられる「透光鑑」と呼ばれる鏡が見つかっています。
ちなみに、上海博物館に収蔵されています。参照→ お勉強 「上海博物館」 MoultonのちR ときどき上海?/ウェブリブログ
この「透光鑑」について必ず言及されるのは、以下の、宋・沈括『夢渓筆談』の記事です。資料用に置いておきますね。そのスジの人は学生等からこの鏡について質問されることもあろうかと思うので、その時は「透光鑑?Caskでも見ておけ」と宣伝しておいてくださいw
『夢渓筆談』の引用は、胡道静校証『夢渓筆談校証 下』(上海古籍出版社、1987年)によります。
世有透光鑑、鑑背有銘文、凡二十字、字極古、莫能読。以鑑承日光、則背文及二十字皆透在屋壁上【校】【『壁』崇禎本、玉海堂本、叢刊本作『璧』。】、了了分明。人有原其理、以謂鋳時薄処先冷、唯背文上差厚、後冷而銅縮多。文雖在背、而鑑面隠然有跡、所以於光中現。予観之、理誠如是。然予家有三鑑、又見他家所蔵、皆是一様、文画銘字、無繊異者、形制甚古、唯此一様光透【校】【弘治本『一』作『二』。】;其他鑑雖至薄者、皆莫能透。意古人別自有術。
(634〜635頁)
便宜的に、平凡社東洋文庫『夢渓筆談 2』の梅原郁氏による日本語訳も、「所以於光中現」のところまで引用させていただきます。
世に透光鑑というものがある。鑑の背面にはおよそ二十字の銘文があり、とても古い字で読むことができない。鑑で日光をうけると、背面の文様と銘文はすべて屋内壁面にくっきりと透けてうかびあがる。
その原理をしらべた人があった。鋳造の際、薄い部分は早く冷える。ただ背丈のやや厚いところは遅れて冷え、しかも、銅の収縮度は大きい。文様は背面にあっても、鑑に表面にもそれと知れぬが跡ができる。だから日光にあてるとあらわれるのである。
(210頁)
211頁の注2に、魔鏡製造原理の近代的研究として、渡辺正雄氏『日本人と近代科学』と石野享氏『魔鏡』が参考文献に挙げられているので、ご参照ください(私は未見)。
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