天皇誕生日

 将来(といってもだいぶ先でしょうが)の天皇誕生日となる可能性があるので記念に。無事の御出産おめでとうございます。
 敦成親王(のちの後一条天皇)の生誕に際して、紫式部はこんな感慨を述べています(『紫式部日記』九月十一日)。

 午の時に、空晴れて朝日さし出でたる心地す。たひらかにおはします嬉しさの、たぐひもなきに、男にさへおはしましける慶び、いかがはなのめならむ。

 ――正午頃、空が晴れて朝日がさし出たような心地がする。御無事でいらっしゃることの嬉しさが何よりである上に、男子でいらっしゃったことで、この慶びは並みのことではない。

 人々の御けしきども心地よげなり。心の内に思ふことあらむ人も、ただ今は、まぎれぬべき世のけはひなるうちにも、宮の大夫ことさらにも笑みほこりたまはねど、人よりまさる嬉しさの自づから色に出づるぞことわりなる。

 ――人々の表情も満足げである。心の中に心配事があるような人も、この時だけはそれを忘れてしまいそうな雰囲気のなかにあって、中宮職の長官はことさらに得意げに笑うわけではないが、ほかの人以上の嬉しさが自然と顔に出るのも道理である。