「二冂口月八三」

 气<誰かわたしのメ知りませんか? を見て、今日お見舞い中に読んでいたものとたまたま漢字ネタ的に重なると思ったのでご紹介。
 『法華経直談鈔』巻第十末の「二冂口月八三事」。

法華経直談鈔

法華経直談鈔

大唐ニ有者市ニ出テ米ヲ売買ニ、売時ハ小キ斗ヲ以出、買時ハ大ナル斗ニテ取也。或時雷鳴テ雲ノ上忽ニ此商人ヲ殺スナリ。雨止空晴テ見、背ニ二冂口月八三ト云文アリ。皆人不知而ニ一人ノ儒者来テ馬上ヨリ見之、鞭ヲ中ニ当テテ見、此文ニハ中ニ竪ノ一文字ヲ引カハ読マ被ル可シト心得テ、其如クニ読メハ、市中ニ小斗ヲ用ルト読也。

(500頁)
 唐の時代、ある商人が米を売る時は小さい升(斗)で、買う時は大きい升で買い取るというセコイ商売をしていたのですが、突然の落雷にあって死んでしまう。その背には「二冂口月八三」と謎の文が。皆首をひねっているところに馬で通りかかった儒者がそこに一鞭、これは縦に一本線を入れれば良いのだ、と。するとそれは「市中では小さい斗を用いる」と読めたのであった――
 「二冂」→「市」
 「口」→「中」
 「月」→「用」
 「八」→「小」
 「三」→「斗」