柿の精

?  「ご主人、ご主人、起きてください」
オレ 「・・・む・・君は・・?」
?  「柿太郎です」
オレ 「まさか・・!」
柿太郎「イタヤ狐殿の功徳によって、成仏する前にご主人の夢のなかに現われることができました。今までの御恩は忘れません」
オレ 「柿太郎・・」
柿太郎「わたしの根元に誰ぞやの三千文の銭が埋まっております。それをどうぞお持ちください」
オレ 「三千文?」
柿太郎「ささやかなお礼です」
オレ 「・・・・・・いや、それはお布施にしよう」
柿太郎「試すようなことをして申し訳ありませんでした。三千文の銭のかわりに、末永くご主人をお守りいたしましょう」

釈慧果。豫州人。少以蔬苦自業。宋初遊京師止瓦官寺。誦法華十地。嘗於圊厠見一鬼。致敬於果云。昔為衆僧作維那。小不如法堕在噉糞鬼中。法師徳素高明。又慈悲為意。願助以抜済之方也。又云。昔有銭三千埋在柿樹根下。願取以為福。果即告衆掘取。果得三千。為造法華一部并設会。後夢見此鬼云。已得改生大勝昔日。果以宋太始六年卒。春秋七十有六。

(『高僧伝』巻12)