モノが動かなくなる日

船や飛行機を女性の三人称で呼び、車や機器にヒトのように名前を与えて、普段と挙動が異なるときは、どうしたんだお前調子悪いのか?と撫でつついたわり、オレらが切羽詰まっているときは少しイライラしながらも、がんばれ頼むよと励まし、それでもいよいよ…

「下紐につけたる草は名のみして・・・」の、下紐につけた草の正体

下紐につけたる草は名のみして心に離れぬ人の面影 (『為相卿百首』、下紐につけた草は名ばかりで、私の心から離れない人の面影よ) この「下紐につけたる草」とは何か、答えよ。(配点10点) こういうのは、大学4年生とか大学院修士課程に入ったばかりの院…

七夕伝説は奈良時代以前に伝わっている(たぶん)

やあやあ、今日はちょっと歯切れが悪いよ! 【越山若水】七夕伝説は奈良時代に中国から伝わった。 http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/213532 いや、もっと早くから伝わっている(はず)。 『万葉集』巻10の1996歌以下に七夕歌がまとめられていて、20…

しもつけの花にまつわる説話の謎

しもつけを買ってきましたー。愛らしい、とても清楚な白い花。 しもつけは以前も記事にしましたので、よろしければ御覧ください。→「さてさてこの野州はやういかり参らせたよ」 - Cask Strength 某資料館にはもうほとんど行かないので確認できませんでしたが…

中国人が初めて読んだ「和文」の文献は何だったのか

先日来、明の時代の貴族が『源氏物語』を読んだ云々というツイートが話題になりました(残念ながら、その元のツイートは削除されてしまいました)。 『源氏物語』が大陸に輸出され、それを明人が読んだとは到底考えられないのですが、そもそも前近代の中国人…

今日は「黄梅雨」「濯枝雨」の一日

台風襲来のような一日でしたね! 今日は夏至。夏至の日に降る雨を「黄梅雨」と呼ぶのだと周処『風土記』は言っています。 夏至之日雨、名為黄梅雨。沾衣服、皆敗[黒+宛]。 (『太平御覧』巻23。「夏至の日の雨、名づけて黄梅雨と為す。衣服を沾し皆敗[黒+宛]…

ルリマツリ(瑠璃茉莉)

散歩中にルリマツリが咲いているのを見かけました。 キレイに写真が撮れたー(∩´∀`)∩ これはつぶやくだけではもったいないということで記事にしましたw いや、実は、高台の上に建っている御宅から長く垂れさがっていたのが圧巻で、その遠景の写真も撮るべき…

不安だらけの神埼市「千字文モニュメント」

市では、「王仁天満宮」と刻まれた石祠に着目し、5世紀の初め百済から日本へ論語と千字文を伝えた、古事記や日本書紀にも登場する「王仁博士」の歴史遺産(夢資源)として捉え、古代からつながる歴史のロマンを体感できる新たな観光施設として、市民とともに…

過目抄ブックマーク数10000突破記念(3)

過目抄ブックマーク数10000突破記念(1) - Cask Strength 過目抄ブックマーク数10000突破記念(2) - Cask Strength 最後は「これはもっと世間に知られていい」ネタ。まだ1〜3users程度しかブクマされていないものから厳選してお届けします。 window.twttr = (f…

過目抄ブックマーク数10000突破記念(2)

過目抄ブックマーク数10000突破記念(1) - Cask Strength (2)はツイートを通じてのクリック数ランキング・トップ10です。1位は現時点で566clicks(「日文研30周年特設サイト|ソビエト時代の日本史(井上章一教授)」)でした。 毎回同じことを書いていますが…

過目抄ブックマーク数10000突破記念(1)

遂にブクマの総計が10,000を突破しました!2009年9月10日から7年9か月でこれだけの数を積み上げたことになります。感慨深い・・・ まとまった時間ができたら「特別企画」もしたいところですが、とりあえず、例のように直近1000ブックマーク(9001〜10000)の…

源順と「紫陽花」(授業のネタに使える話)

私たちに馴染みのある『紫陽花』という表記になったのは、平安時代のことです。学者であり歌人の源順(みなもとの したごう)は、中国の白楽天の詩を読んだ際、その詩に記されている『紫陽花』と、日本でよく知られるアジサイが同じものだと考えました(実際…

ボイセンベリー初収穫

(ボイセンベリーの実 - Cask Strength) ↓昨日の段階での実の様子 もう大丈夫だろう、と摘み取ってみました! あの「いみじううつくしきちごのいちごなど食ひたる」(『枕草子』「あてなるもの」段)の「いちご」もこんな感じだったのではないでしょうか! …

五畿内の国々を挙げるときの順序

こんなツイートを目にしました。 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "https://platform.twi…

「おもう」「思う」「想う」

いつも楽しく拝見している毎日ことばですが、今回の「なぜ新聞は「想う」を使わないか」と題する記事には少し「おもう」ところがありました。 「想」はかつての当用漢字表でも今の常用漢字表でも「ソウ」の音読みだけが掲げられています。常用漢字表は201…

「引用」と判定すること

ある文章がほかの文献の直接引用であると証明することは結構難しい。別の文献の孫引きだという可能性が常にあるからです(参照、出典論 - Cask Strength)。 しかし、今回報道された、出雲市の波迦神社の棟札に『出雲国風土記』の「引用」が見られるという一…

ボイセンベリーの実

【収穫】 果実は2年目の枝に付く。赤い実が深紫色になったら食べごろ。 https://boysenberry.stores.jp/items/56ef860e2b34925a90000145 とのことなので、今年ずっと期待していた我が家のボイセンベリー君(今週のお題「植物大好き」 - Cask Strength)。 5…

柿太郎の花が咲いたよ!

なにしろ昨年我が家の柿太郎が結実してくれたので(柿六年 - Cask Strength)、今年は細心の注意を払って見守っていたのですが、よかった、花を咲かせている! 今年もいっぱい実りますように! そういえば、柿の花は古典でもほとんど題材にならないのですが…

オレ的「これだけは揃えておきたい岩波現代文庫」

https://www.amazon.co.jp/dp/4002052400 「これだけは揃えておきたい岩波現代文庫(39点40冊セット)2017」に含まれているのは一体何なのか・・!?その詳細については何も書かれていないが、こんなので注文しようとする人がいるのか?大丈夫かアマゾン・・!…

オダマキ

オダマキが咲いていたよ! この深い青紫色のものが一番好きかも。 ところで和歌に出てくるオダマキ(たとえば、「谷深く立つをだまきは我なれや思ふ心の朽ちてやみぬる」『狭衣物語』、など)は、この草のことではなく、立ち枯れの木のことをそう呼んだらし…

本棚メモ

メディア: この商品を含むブログを見る中国史書入門 現代語訳 隋書作者: 中林史朗,山口謠司,池田雅典,大兼健寛,洲脇武志,田中良明出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2017/05/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る古代地名の…

スズラン

庭では多くの草木が春を謳歌して花を咲かせていますが、せっかくなので新顔をご紹介いたします。 ――rose of Sharon, and the lily of the valleys そうです、地植えです。そう言うとスズランの(猛烈な繁殖力の)ことをご存じの方は「ちょっと再考を・・・」…

本棚メモ

御無沙汰しました。歴史のなかの東大寺 (東大寺の新研究)作者: 栄原永遠男,佐藤信,吉川真司出版社/メーカー: 法藏館発売日: 2017/04/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る萬葉語文研究第12集作者: 萬葉語学文学研究会出版社/メーカー: 和泉…

ブログデザインを変更しました

ここ何年もずっとカクレミノ(?)の黄葉をモチーフにしたものを使い続けていたのですが、さすがに季節に合わないものを使い続けるのもいかがなものか、という感じもするので、春らしいテーマ(Hatena_flower2-green)にしてみました! まあ、スイセンも間も…

OCRのミスが放置された例

たとえば、著作集や全集を作る際に初出の著作をOCRで読ませて校正・編集する、ということもだんだん普通になってきているとは思うのですけれども・・・ (「辞書史と片仮名」、『築島裕著作集 第三巻』汲古書院、2016年。66頁) これもその一例でしょうか*1…

本棚メモ

日本語書記用文体の成立基盤 (表記体から文体へ)作者: 乾善彦出版社/メーカー: 塙書房発売日: 2017/03/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る論集 古代語の研究作者: 蜂矢真郷出版社/メーカー: 清文堂出版発売日: 2017/03/31メディア: 単行本…

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参考図書解説目録2014-2016作者: 日外アソシエーツ出版社/メーカー: 日外アソシエーツ発売日: 2017/03/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る東アジア仏教の生活規則 梵網経 最古の形と発展の歴史作者: 船山徹出版社/メーカー: 臨川書店発売…

『口訳万葉集(上)』

口訳万葉集(上) (岩波現代文庫)作者: 折口信夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2017/03/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 折口信夫『口訳万葉集』が岩波現代文庫に入りましたが、その「解説」は、いかがなものか。 最高に純粋だった。と…

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古代語の謎を解くII (阪大リーブル058)作者: 蜂矢真郷出版社/メーカー: 大阪大学出版会発売日: 2017/03/15メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るうつほ物語論: 物語文学と「書くこと」作者: 武藤那賀子出版社/メーカー: 笠間書…

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日本霊異記の罪業と救済の形象作者: 大塚千紗子出版社/メーカー: 笠間書院発売日: 2017/03/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る唐代仏教美術史論攷: ――仏教文化の伝播と日唐交流――作者: 大西磨希子出版社/メーカー: 法藏館発売日: 2017/03/…