2012-01-01から1年間の記事一覧

「編年」が「ケンネン」に聞こえた(かもしれない)こと

佐藤道生氏蔵『東坡詩聞書』(仮題。慶長十八年写)を、堀川貴司氏『五山文学研究 資料と論考』の翻刻で通読しようとしたところ、その冒頭の辺りに、 (241頁) 「編年」を「ケンネン」としている。「編」に「ケン」の音があるとは考えにくいから、何だろう…

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長谷寺銅板法華説相図の研究作者: 片岡直樹出版社/メーカー: 中央公論美術出版発売日: 2012/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る渡瀬昌忠著作集〈補巻2〉万葉記紀新考作者: 渡瀬昌忠出版社/メーカー: おうふう発売日: 2012/1…

「桑」ではなくて「乗」で「四十八」と解く説話

桑の異体字を分解すると「四十八」になる、というのは割とよく知られていると思います。(なので、こういう本もある→CiNii 図書 - 桑葉和歌抄 : 四十八願古歌注 : 翻刻と研究 : 佛教大学附属図書館蔵) http://www.joao-roiz.jp/HNG11/search/word=%25E6%25A…

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續日本紀史料 第16卷(自寳龜元年10月至寳作者: 皇學館大学史料編纂所出版社/メーカー: 皇學館大学出版発売日: 2012/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 16巻とな!15巻はいつの間にやら刊行されていた・・orz古事記はいかに読まれてきたか…

私にカリンの実をくれたかた、お礼に美しい玉をあげましょう

昨日は季節の便りのような記事を書いたので、その流れで。 カリンの実が熟してきたよ。あともうちょっとだな。 風で落ちてしまったものは傷む前にホワイトリカーに漬けてカリン酒に。 持っただけで手に香りが移る。好きなアロマの一つです。 我に投うるに木…

此の忘憂の物に汎かべて 我が世を遺るるの情を遠くす

今日は旧暦の重陽ということで急に思い立って菊酒を飲むことにしました。 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.i…

ようやく一息ついたところ

いやはや遠かった・・・みなさまもお疲れさまでした。

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神保町公式ガイド Vol.3 (メディアパルムック)作者: 神田古書店連盟出版社/メーカー: メディア・パル発売日: 2012/10/13メディア: ムック クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る王朝和歌の想像力―古今集と源氏物語作者: 鈴木宏子出版社/メーカー: …

燕沢碑(蒙古之碑)の字体

木崎愛吉『大日本金石史 第二巻』*1330〜333頁に「燕沢碑」という石刻が紹介されています。 (大日本金石史. 第2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション) 拓本の写真を拡大すると以下の通り。まあ奇妙な字体です。 解説(330頁)に言うところの「離合体…

沈約『宋書』の「哥」字

清・王士禎『香祖筆記』(巻八)に、 顧鄰初雲:“沈約《宋書》凡歌字皆作哥字。”予昔官廣陵,於一士大夫家見趙鬆雪家書,凡哥字皆作歌字,蓋古通用也。 http://zh.wikisource.org/wiki/%E9%A6%99%E7%A5%96%E7%AD%86%E8%A8%98 まず「雲」は「云」(簡体字→繁…

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萬葉集研究 〈第33集〉作者: 稲岡耕二,神野志隆光","芳賀紀雄出版社/メーカー: 塙書房発売日: 2012/08/24メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る古墳時代研究の現状と課題〈上〉古墳研究と地域史研究作者: 土生田純之,亀田修一出…

碓氷峠の歌

碓氷峠はいつか訪ねたいと思っています。 http://www.geocities.jp/kumanokoutai/map25.html 弁慶が中仙道を通った際に詠んだと伝えられています。 読めますか? 八万三千八 三六九三三四七 一八二 四五十三二四六 百四億四六 写真では字が見づらいのですが…

12個の頭を持つ天皇と11個の頭を持つ地皇

ベツォールドコレクションの『三皇五帝絵巻』 http://hollis.harvard.edu/?itemid=|library/m/aleph|012748870 不思議な絵でして、中国古代の伝説上の王である「三皇」(どの三人の組み合わせを「三皇」とするかは諸説あります)のうちの二人、「天皇」と「…

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全譯後漢書 第5册 志 3(自卷7至卷9)作者: 渡邉義浩,池田雅典出版社/メーカー: 汲古書院発売日: 2012/10メディア: 大型本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る懐風藻全注釈作者: 辰巳正明出版社/メーカー: 笠間書院発売日: 2012/10/01メディア: …

紅茶という名のバラ

http://www.rosegallery-l.com/collection/nflower/nf_05.html 香りはそれほど強くはないのだけど。 それにしても10月だというのに暑いので、今日の時点でもう満開を過ぎてしまった・・・↓

『桂川地蔵記』に見る「地蔵」の字解

『桂川地蔵記』(桂地蔵記)については、『遊仙窟』と『文選』の引用を調べるために江戸時代の写本を昔ちらっと見ただけでしたが、このたびの影印本刊行で初めて全てにざっと目を通しました。カラー写真は鮮明。尊経閣文庫本 桂川地蔵記 影印・訳注・索引作…

あと一冊で完結するシリーズ

あらかじめ刊行予定が公表されている素晴らしい叢書が未完のままで時が経過していくのは、なかなか残念なものです。吉川弘文館さんの「日本歴史叢書」シリーズや、平凡社さんの「絵は語る」シリーズのような。 (この後四頁にわたって書目が続き、最後には「…

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西欧古代神話図像大鑑―全訳『古人たちの神々の姿について』作者: ヴィンチェンツォカルターリ,Vincenzo Cartari,大橋喜之出版社/メーカー: 八坂書房発売日: 2012/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る パノフスキ…

紹介・『文選詩』――特に「古詩二十首」について

window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "https://platform.twitter.com/widgets.js"; fjs.paren…

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越境する古事記伝作者: 山下久夫,斎藤英喜出版社/メーカー: 森話社発売日: 2012/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る日本人の思惟方法〈普及版〉作者: 中村元出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2012/09/19メディア: 単行本この…

「0.5秒のしおり」

ご自由にお取りください、とあったのは十数枚の古い映画フィルム。先日一切れもらった。 箱には「0.5秒のしおり」とあったよ。なかなか洒落ている。

京都大学図書館蔵(平松文庫)『三体詩』が『三体詩』ではない件

http://m.kulib.kyoto-u.ac.jp/webopac/ufirdi.do?ufi_target=catdbl&ufi_locale=ja&pkey=RB00006443 「高士奇」編とあるので、高士奇注『三体詩』(『三体唐詩』)のことかと思ったら中身は全然違いました。 http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/h570/i…

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朝鮮神話の源流─「バリ公主神話」と「ダンクン神話」を巡って作者: 金香淑出版社/メーカー: 春風社発売日: 2012/09/14メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る白鳥 (ものと人間の文化史)作者: 赤羽正春出版社/メーカー: 法政大学出…

ヤブラン――古語では「やますげ」?――が咲いたよ

先ほど覗きこんだら雨どいの下にいるヤブランがちょうど開花していたよ。 うちの子は淡紫ではなくて白い。 可憐な花なので先人も愛でたであろうと思うのですが、古典時代に何と呼んでいたのかがはっきりしない。『枕草子』「草は」の段にも登場する「山菅」…

「ほねとかわとがはなれるおと」

「ひさしくなおらないやまい」やら「ほねとかわとがはなれるおと」 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id…

東京国立博物館ミュージアムショップで売られている和綴じノート

今まで全然気づかなかったのですが、先日トーハクで良いお土産を見つけまして。 和綴じノートです。全七種(http://www12.ocn.ne.jp/~tnm-shop/goods/bu_2.html)。製作は彫美堂五井さん→ http://www.chobidogoi.co.jp/seisaku/soutei_1.html 授業で線装本を…

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斉明天皇の石湯行宮か・久米官衙遺跡群 (シリーズ「遺跡を学ぶ」084)作者: 橋本雄一出版社/メーカー: 新泉社発売日: 2012/09/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る これは普通なら本題と副題は逆にするところだと思うのですが、こっちのほう…

Wikipedia "a message in a bottle" 項に出てくる謎の日本人

(今回は参考文献・原典の調査不足甚だしいので、諸賢の御教示を賜りたく存じます) 今朝こんなニュースを目にしまして。 http://www.theatlantic.com/technology/archive/12/09/found-worlds-oldest-message-in-a-bottle-part-of-1914-citizenscience-exper…

『石山寺縁起絵巻』の馬

拝観したいですが、時間ないなー。 重要文化財「石山寺縁起絵巻」全7巻を初めて一挙公開する県立近代美術館(大津市)の企画展「石山寺縁起絵巻の全貌」(10月6日〜11月25日、京都新聞社など主催)をより楽しんでもらおうと、大津市の石山寺で「石山…

早稲田大学図書館蔵『源氏物語注』

[源氏物語注] 緑川真知子氏「早大図書館蔵『源氏物語注』考――作者の可能性についての一考察――」(『平安文学の交響――享受・摂取・翻訳』勉誠出版、2012年)。 秋成作者説をやみくもに主張しようというつもりは毛頭無いが、作者の可能性のある候補者の一人と…